INTERVIEW

田中 佑樹さん(愛媛県出身/NPO法人「農音」代表)

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2015.08.12 UPDATE

田中 佑樹さん

首都圏で活動していた若いバンドマンたちが中心となり、2011年に発足したNPO法人「農音」。「農業と音楽で地域を結ぶ」を合い言葉に、松山の離島・中島に20〜40代の若者が集団移住して、衰退しつつある地域産業のサポートをしています。首都圏と地方、双方が抱える問題に取り組み、今では全国からも注目を集める存在に。今回取材させてもらったのは「農音」の発起人でもあり、自身も中島に移住した田中佑樹さん。移住した若者たちが、柔軟な視点で地域産業とどう向き合っていくか。そこには、これからの日本を支える地方移住へのヒントがありました。

「個人の濃度が高い田舎こそ、暮しのリアリティを感じる場所」

ーー 松山の離島・中島に移住したいきさつを教えてください。

僕は大学進学と同時に上京したのですが、もともと「いつかは愛媛に戻りたい」という想いがありました。大学卒業後はバンドマンとして関東で活動していたのですが、ずっと都会での暮らしに生きにくさを感じていたんです。僕は、都会で暮らす人には2パターンいると思っていて、都会暮らしを心から満喫している「都市型タイプ」の人間と、都会にストレスを感じながらも都市型のフリをして生きる「田舎型タイプ」の人間。僕は後者でした。

当時バイトしていた音楽スタジオで、いろんなお客さんに「田舎暮らしっていいよね」「島で田舎暮らししてみない?」とノリで話してみたら、みんなすごくその気になってくれて(笑)。これが、そもそものきっかけ。移住にはノリって大切なんですよ。思い立ったが吉日!

ーー 移住するために、具体的にどんな準備をしましたか?

移住にあたって必要なことを、逆算して考えました。僕たちがまず思い描いたのは、地方産業でもある「農業」と、僕たちのフィールドである「音楽」で「地域を結ぶ」という活動。そのために必要なスキルは、外に向けて活動を発信するメディア力だと思ったんです。だからこの力をつけるために、東京の出版社で2年ほど働きました。今、僕たちの活動を注目していただけているのも、このメディアを使った発信力によるところが大きいと思っています。

移住当初、まずは発起人の僕が1人で中島に引っ越しました。その後1年ぐらいかけて現地で「農音」の下地作りをしました。1人また1人と増えて、島内での「農音」メンバーは、現在10人。さらに「農音」のアシストをきっかけに移住した人は33人にのぼります。主に20〜40代の若い世代というのも特徴ですね。

ーー 実際に中島に住んでみて、移住前と印象は変わりましたか?

僕たちが移住した中島って、第一次産業の島なんです。特にみかん栽培に特化しています。まだ東京にいた頃は「中島もみかんだけじゃダメだよね」なんて軽口を叩いていたのですが、実際に住んでみたらそれは間違いだと思い知らされました。本当にみかんだけなんですよ、良くも悪くも(笑)。でもね、中島のみかんって、同じくみかんの産地でもある静岡出身のうちのスタッフが驚愕したほどの美味しさなんです。このみかんの味に衝撃を受けて「農音」入りを決めたスタッフもいます。

それで、この素晴らしいみかんをいかに売り出していくか、という点に活動の方向性を絞っていったんです。新しい柑橘ブランド「真ん中」の設立や、柑橘名産地としてのブランド力の回復。「アースデイ東京」などの大型イベントにも出展し、音楽演奏でPRしながら柑橘の販売もしています。つまり、営業ですね。年々高齢化が進む中島で「いかに負のスパイラルを断ち切るか」を考え、田舎暮らしに関心が高い若者を全国から募る移住促進活動も行っています。

ーー 移住のプロとして、移住を考えている方へ伝えたいことは?

「いつか田舎に住みたい」って心の中で思っている人って、実はものすごく多いんです。「移住したいんだけど、生活水準を落としたくない」とか、色々な理由で行動に移せない。ただ、首都圏では一極集中が国家レベルで問題になっている上、過度に分業化・細分化された社会構造が、個人の存在意義を薄れさせ精神衛生に支障をきたしているのが現状です。生活のレベルを計る尺度が変わってくると感じています。

そこで僕は「もっと身の丈に合った生活をしていきましょう」と言いたい。「田舎型タイプ」の人が「都市型タイプ」のフリをして、都会でストレスを感じて暮す必要はないんです。田舎は、リアリティのある生活ができる場所。東京では1/13,300,000人、中島のある忽那諸島では1/5,000人。地域に対する個人の濃度が全く違います。自分の行動が、確実にコミュニティに影響を与えるリアリティ。それが、生きている実感と直結するんじゃないでしょうか?

DATA

出身地:愛媛県
移住元:東京都
移住年:2011年
移住までにかかった期間:2年
移住時の年代:30代
団体構成:10人
職業:NPO法人代表

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音楽と農業で地域を結ぶNPO法人 農音

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